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琉球王国時代、北部の今帰仁親泊という村の、神女(祝女)殿内(どぅんち=屋敷)でのことです。 そこには、村のうわさになるほど美人で、あとあと神女を継ぐ娘と、厳しい神女が住んでいました。 |
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その殿内に、首里から、若按司(わかあじ)と下男三良(サンラー)が宿を乞いにやってきます。 ひょうきんなサンラーは、物干しの美しい着物を見てご機嫌。 「着物がこんなに美しいなら、持ち主はどれほどの美人なんだろう」 |
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サンラーはみすぼらしい着物には見向きもしません。 「着物がボロなら、持ち主だって不器量に決まってますわい」 そこへ、持ち主のチラー小(ぐゎー)が現れ、「不器量でごめんなさいね!!」 もはや、宿どころではありません。 |
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| 若按司は軽率なサンラーを叱り飛ばし、謝りに走らせます。 |
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ぶつぶつ言いながら待つ若按司の前に、先ほどとは別の娘がやってきました。 美しい着物の持ち主、カマドー小でした。 |
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カマドー小をすっかり気に入ってしまった若按司は「長旅で疲れている…」と水をねだります。 ところが、うやうやしく差し出されたひしゃくには首を振り、 「わたしは、あなたの手からじかに飲ませてほしいのだ」 |
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カマドー小はつつしんで断りますが、それは若按司の真意を測りかねたからかも知れません。 若按司は、彼女への想いが本心である証を立てようと、腹を切ることにします。 |
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カマドー小はしかたなく、手で水を受けて差し出します。若按司が口をつけるなり、カマドー小の胸にも火がともりました。 しかし、彼女は神女のあと継ぎ。恋などもっての他なのですが……。 |
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| 気持ちを抑えることはできず、ふたりは互いに離れられない存在となってしまいました。 |
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一方、サンラーは、チラー小に許してもらえずにいました。謝るだけが能じゃない、とサンラーは妙案をひねり出します。 「死ぬほど、ノドが乾いた!」 |
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チラー小は桶(おけ)を突き出しますが、サンラーは「手の平から飲みたい」と応じます。 サンラーのひょうきんなところを好ましく思い始めていたチラー小は、水を飲ませてやります。 |
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| 手水がきっかけで、ふたりの心が通いあいます。 |
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それから数ヶ月後、小さな命が宿ったカマドー小とチラー小を、神女が呼びつけました。 「あんたたちは、祝女という神職をなんと心得るのか!」 続いて、若按司とサンラーも呼び出され、宿を出るよう申し渡されてしまいます。 |
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とほうに暮れる若按司とサンラー。そこへ、王府からの急使がかけつけます。聞けば「首里で逆賊が立った」とのこと。 神職を追われ、愛しい人とも離れ離れになるカマドー小は泣き崩れます。が、どうすることもできません。若按司は、守り刀をカマドー小に手渡し、出立します。 |
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| 同じくサンラーも、チラー小との再会を信じて、戦の首里へと馳せ参じるのでした。 |
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